Roxtec MCT – マルチケーブルトランジットシステム

最先端の技術を使った Roxtec MCT 製品は、最も過酷な環境下での安全性が実証されています。オフショア石油・ガス設備や造船業界をはじめ、高い安全性が求められる陸上施設のプロジェクトでも幅広い産業分野で実績があります。 安全性の向上、効率の改善、総所有コストの低減を目指したいプロジェクトがあれば、その計画書、基準書、仕様書など事業主から承認をもらうための書類に Roxtec のMCT をぜひ含めてください。

この記事では、Roxtec の複数ケーブル・パイプ貫通部シールを用いた安全確保の具体例や、MCT を使った円滑な設計作業をご紹介します。

Roxtec MCT (マルチケーブルトランジット) システムの用途： 

防火

Roxtec MCT (マルチケーブルトランジット) は、防火性能を持つ製品として長年の実績があります。 Roxtec マルチケーブルトランジットの最も効率的な使い方は、防火の設計条件を考慮すると同時に、水、煙、爆発、ネズミなど複数のリスクからも保護が必要な場合です。 プロジェクト設計の中にリスク評価が含まれている場合、火災のリスクはそれに関連する他の危険要因から被る損害のリスクについても検討が必要なケースがよくあります。 このようなケースでは、Roxtec MCT がおすすめです。

水および周囲環境からの物質の侵入に対する保護

Roxtec MCT 製品は、天候に起因する危険要因や、水しぶきやホースの水、砂や塵埃などの要素から設備を保護します。 標準的な Roxtec MCT は、IEC 660529 で定義された電気機械器具外郭の IP (固形物と水に対する侵入保護) 等級で言うと最低でも IP 54 のレベルです。より高いレベルの防塵・防水性能が必要でも、IP 66 と IP 67 に適合する Roxtec MCT を標準で提供しています。腐食性のガスや爆発の可能性のあるガスが漏れるのを防ぐ気密性能も備えています。

水密性能については、防水性能試験の様子を撮影した動画をご覧ください。

危険場所

建物への配線引込み口用の MCT (マルチケーブルトランジット) に加え、Roxtec は主要な国際電気規格 (IEC、ATEX、AEX) に適合する MCT 製品も開発しています。危険場所や指定区画にある電気設備や筐体に配線される複数本のケーブルの配線口を密閉できる製品です。 これらの用途に用いる MCT 製品は、設備や筐体との適合性を認証されている必要があります。 MCT 製品を電気設備や筐体に直接取り付ける場合、ATEX や IEC 60079-0 などの危険場所に関する規格に適合している製品か、API RP 500/505 などで認められた工法でケーブル入線口を密閉処理する必要があります。

蒸気気密

施設の危険区画を計画・設計する際には、非危険区画と分離するために設計上で配慮すべきことが出てきます。 危険区画の建物に引き込まれるケーブルの貫通開口部の処理方法は、この段階で適切な設計を行うことが重要で、危険区画とそれ以外の区画との間に蒸気気密のバリアを設ける必要があります。 この蒸気気密バリアは、通常の気圧環境下で漏れ出たガスや蒸気が放出されるのを防止しなければなりません。 適切な仕様、設計、施工により、Roxtec MCT 製品は安全要件を満たすか、それを上回ることができます。 Roxtec MCT 製品はそのガス気密性能が認証されていて、非常時の圧力 2.5 bar (~36 psi) までの耐性があるので、厳しい安全要求課せられる洋上のアプリケーションでも、確かな気密性を提供できます。また、陽圧を維持することが求められるような陸上のプロジェクトでも、容易に要件を満たすことが可能です。

接地・等電位ボンディング・EMC

多くのプロジェクトでは、電力システムや制御システムに装甲ケーブルを使用する設計をしています。そして国内外の電気規格は、装甲ジャケット部分にボンディングまたは接地を施すことを要求しています。 Roxtec は、このような要件をすべて満たせるタイプの MCT も開発しました。 Roxtec MCT には、そのシーリングモジュールに錫メッキ加工をした銅のストラップが接地用に埋め込まれています。 Roxtec MCT ソリューションは IEC-62305 規格に適合していて、落雷の影響に対する電気安全性と等電位ボンディングを提供できる保護性能を認証されています。

Roxtec BG™ B および BG™ (ボンディング・接地) ソリューションと、電磁両立性ソリューションの詳細は、各リンクをクリックしてご覧ください。

また、短絡接地試験と電磁シールド試験の様子は、各リンクをクリックしてご覧ください。

ケーブル把持力・耐引張力

Roxtec MCT は、壁への垂直方向の施工、床への水平方向の施工のいずれにおいても、高水準のケーブル把持力を発揮できるようデザインされています。 Roxtec MCT は、そのケーブル把持力を試験されていて、従来の金属製ケーブルグランドと同等の性能要件を満たすことが実証されています。EN 50262 規格のタイプ B ケーブルグランドに関する要件、IEC 62444 規格に定義されている要件、UL 514B 規格の表 27 に定められている最小「引張力」の条件を満たしています。例えば、外径 50mm のケーブルに Roxtec MCT 製品を用いた場合、2,000 NM (~450 ポンド力) のケーブル把持力を有することが証明されています。

げっ歯動物・害虫の侵入バリア

極寒の地から高温で過酷な砂漠地まで、ネズミや害虫の侵入は発電施設やプロセス工場にダウンタイムをもたらしてきました。 害獣・害虫は、電気制御機器を格納する建物や筐体の中に隠れ場所を求めて侵入します。ケーブルや接続部などが破壊されれば、機器の停止、部品の修理や交換がにつながり費用が発生します。

Roxtec MCT 製品は、建物に設けたケーブルやパイプの引込み開口部から蛇、ネズミ、害獣が侵入するのを効率的に防ぎます。

防爆構造

石油・ガス・石油化学施設は爆発する可能性がある環境なので、防爆仕様の壁や構造の設計・技術検討には多くの時間が費やされますが、ケーブルが貫通する開口部は忘れられがちです。 土木・構造設計を担当するチームの皆さまには、プロジェクト設計の早い段階で Roxtec MCT 製品を設計に組み込むことをおすすめします。ケーブルやパイプの貫通部が爆風荷重に対して十分なレベルの保護を提供できるかどうか、Roxtec にご相談ください。 防爆構造のレベルがさまざまでも、Roxtec は特定の要求に対する試験報告書を提供することができます。

振動・騒音減衰

Roxtec MCT 製品を構成する部品のうち、ケーブルやパイプと接触する部品はエラストマーポリマーでできていて、振動や騒音を低減する性能を備えています。 Roxtec MCT は、スキッドマウント型のタービン装置、発電機、モーター、採鉱設備、クレーンの事業主や運用会社の皆さまから選ばれています。振動や騒音の減衰効果も有益な保護性能として、選ばれる理由の一つとなっています。

ケーブル終端処理

変電設備、制御センター、分析機器盤を収める建物がパッケージ化され組み立て式になる傾向にあり、機器の真下から筐体底板を貫通してケーブルが引き込まれる入線口に Roxtec MCT を使う設計が一般的になっています。 このような場合、Roxtec MCT フレームは、機器のケーブル終端処理がしやすいと思われる位置で床に溶接されるかボルトで固定されます。 フレームを通してケーブルが敷設され、モジュールと圧縮ユニットで密閉されます。 Roxtec MCT は、水、火災、ガス、爆風、ネズミなどの環境リスクに対して認証された保護を提供するだけでなく、ケーブル把持力も備えています。

過酷な環境

今日の大規模な産業プロジェクトの多くは、世界で最も過酷かつ危険な環境にその施設が建設されています。 これらのプロジェクトは、それほど過酷ではない環境のプロジェクトと比べて、同等かそれ以上の安全性が要求されます。

陸上の石油・ガス施設や洋上の石油・ガス施設のような危険かつ過酷な環境で長年にわたり使用されてきた Roxtec MCT の歴史は、マルチケーブルトランジットが非常に過酷な環境でも耐えられる性能を証明しています。

既設配線・配管周りの改修工事

多くの既存施設は、建物内へ引き込まれるケーブルの貫通開口部を密閉処理しないまま稼働しています。 あるいは、求められる安全標準以下の方法で処理された建物もあります。 Roxtec MCT 製品群には、既設の配線や配管の周りに取り付けられるよう、ボルトで組み立てできる改修工事に適したフレームも揃っています。 したがって、Roxtec マルチケーブルトランジットを建物や設備筐体に設けた貫通開口部にお使いいただくと、ブラウンフィールドの工事案件でも安全性と信頼性を高めることが可能です。